当院の女性医師3人が、日々の診療や身近で起こったことについて語るコラムです。
『円錐角膜』
今回は円錐角膜についてお話したいと思います。
円錐角膜は10~20代の若年者に発症することが多く、角膜が進行性に薄くなり突出する病気です。以前は重度に進行してしまった場合は角膜移植を行うしか治療法がありませんでしたが、近年は進行を抑制するクロスリンキングという新たな手術法が登場し、適切な時期に治療を行うことで、その後大きな不自由を来たすことが少なくなりました。
円錐角膜の治療方針は進行の有無と病気の程度により異なってきます。
若年者で進行がある場合は、進行を抑制するクロスリンキング(日本ではまだ保険適応外ですが、欧州では標準治療です)をおすすめします。
進行がない場合は視力の矯正治療が主になりますが、当院では様々なハードコンタクトレンズから不正乱視を軽減する角膜リング等の手術法まで幅広く行っています。また、ハードコンタクトレンズの異物感が強く装用が困難な患者様には、ピギーバック法やボストンレンズなどをご提案しています。
また、非進行性で軽度の方の中には、トーリックICLやピンホールタイプの多焦点眼内レンズ手術が可能な場合もあります。
医療の進歩と共に以前は不可能であったことが可能となり、治療の選択肢も広がっていますので、「以前に円錐角膜と言われ諦めていた・・」という方も、何か気になることやご興味のあることがあれば遠慮なくご相談ください。
名古屋アイクリニック
医師 水野 泰子
【略歴】
- 岡山大学医学部卒業
- 岡山大学医学部附属病院、高知医療センター、中京病院、中京眼科勤務を経て現在は名古屋アイクリニック勤務
- 日本眼科学会認定眼科専門医
【所属】
日本眼科学会、日本眼内レンズ屈折手術学会、日本アレルギー学会、眼科アレルギー研究会