多焦点眼内レンズの体験談
皮膚科医師 Y先生
手術日 右: 2009年10月7日 左: 2009年10月7日
術前視力 右: 0.02 左: 0.02 ⇒ 手術後 右: 1.0 左: 1.2
●多焦点眼内レンズ 体験談
名古屋アイクリニック院長、中村(以下「N」)と、多焦点眼内レンズ挿入術を受けられた皮膚科医師(以下「Y先生」)との対談より。
N:Y先生は、平成21年10月7日に多焦点眼内レンズの手術を受けられましたが、この手術について、どこでお知りになられたのでしょうか?
Y先生:以前からお世話になっているご近所の先生から初めて多焦点眼内レンズというものがあると知りました。ですからその先生のご紹介で。
N:Y先生は、はじめは白内障の手術を受けるおつもりでご近所の先生のところに行かれたのですか?
Y先生:そうですね。すごく見えなかったんです。コンタクトの所で訊いてみたら、それは白内障だと言われました。
N:そうなんですね。Y先生は結構強い近視でいらっしゃいましたね?
Y先生:はい。すごくきつくて、遠くも近くもだめでした。沢山の種類のコンタクトを使っていました。
N:そして白内障だということで眼科医院へ?
Y先生:そうですね。
N:多焦点眼内レンズは、新しい素材なんですけれども、何か抵抗とかはありませんでしたか?
Y先生:信頼している先生のご紹介でしたから、何もありませんでしたね。両方良く見えるということでしたから。すごく素晴らしいことだと思いましたね。まだそんなに普及していないのでしょうか?
N:まだ始まったところですね。
Y先生:それはちっとも知らなくて、普及しているものとばかり思っていました。抵抗はなかったです。
N:ちなみに、コンタクトレンズには遠近両用のものもあるんですが、それは使われていたんでしょうか?
Y先生:いえ、それは使っていなくて。診察ごとに使い捨てていました。
N:強いもの、弱いものを使い分けていらっしゃったんですか?
Y先生:昼間は眼鏡で。診察のときには近いところはソフトコンタクトレンズを使っていました。
N:そうだったんですね。ところで、今回手術は両眼同日ということでしたが、両眼とも同じ日に受けようと思われたのはなぜでしょうか?
Y先生:日程的にちょっと長くかかりすぎるなと。両眼でも可能だということでしたから。
N:どうでしたか?両眼同じ日に手術というのは?
Y先生:良かったとは思いますね。ただ、もう少し近いところが見える方が良かったんじゃないかと思うので、片眼ずつする時のメリットは何かと考えると、片眼ずつ手術をすれば、後から受けるもう片眼の方の手術で、もう少し近くが見えるようにしていただけたのかな、と、それは思いましたね。でも両目いっしょにということはすごく楽でしたね。
N:そうですか。わかりました。今、近くの見え方のことをお話しいただいたのですが、Y先生は現役の皮膚科医としてご活躍されているのですが、お仕事上問題はありませんか?
Y先生:いえ、すごくいいですよ。今まではお子さんの発疹を見ると、そのお母様のお顔が見えないとかありましたが、今はどちらも見えます。とてもいいです。診察の時が一番感じますね。助かっています。小さなイボでもはっきり見えます。
N:車の運転とかもされますか?
Y先生:しています。
N:何か不自由を感じることはありますか?
Y先生:ちょっと眩しいので、サングラスをかけます。
N:それは昼間ですか?
Y先生:昼間ですね。夜は、後ろから照らされた場合にかなり白っぽくライトが見えます。このレンズのせいかどうかわかりませんが、眩しく感じますね。それから、高速を走ると、黄色のライトがハローというのでしょうか、すごく気になりますね。
N:そうですか。やはりかなり暗い所での光がまぶしく感じるのでしょうか?
Y先生:だと思いますね。昼間は感じませんから。
N:昼間だったらグレアの問題はありませんか?
Y先生:前の車のブレーキランプのグレアはわかりますね。
N:ときどきこの手術を受けられた患者様で、車の運転が怖くなって夜はしていない、という方がいらっしゃるのですが、大丈夫ですか?
Y先生:全然怖くないです。わかっていれば問題ないです。
N:わかっていれば問題のないというレベルですか?
Y先生:そうですね。
N:他にも、ワクシービジョン(Waxy Vision)と言っているのですが、昼間でも何かすっきりしない、ワックスがかかったような見え方とかですね、水の中でものを見ているような見え方がする、というのが海外では手術後の課題となっているのですが、そのあたりはいかがですか?
Y先生:ないですね。すごくきれいに見えますね。見え方に関して問題はないですよ。
N:そうですか。では手術後お困りになったことなどはありませんか?
Y先生:困ってはいないけれど、本を読むでしょ?その時に見えないんじゃないんですけど、字が小さく見えて、いただいた眼鏡をかけると良く見えますね。今までのように目の前に近付けて読んでいたのはなくなりましたが。慣れればいいんだろうと思いますね。
N:やはり長時間読書をする、細かい文字を読む、ということには若干弱いというか、疲れやすいでしょうか?
Y先生:と思いますね。だんだん慣れてくると思いますが。
N:手術を受けられて、お仕事以外の日常生活で何か変化を感じたことはありますか?
Y先生:すごく活動的になれましたね。ほんとに旅行に行きたくなりますね。
N:それではスタッフの方から、Y先生ますますお若くなられたとか、表情が変わられたとか、言われるのではないですか?
Y先生:どうですかねえ(笑)。術後は大変でしたからね。でもほんとにいいですね。
N:Y先生は、医師としてこの多焦点眼内レンズに対してどのように思われますか?
Y先生:すごくいいと思いますね。もうちょっと早く普及していると、もっと多くの人が受けていると思いますね。みんな知らないですものね。
N:今は評価療養という形で、先進医療として半分しか保険がきかないんですけれど、これは保険適用の治療になっていくでしょうね。
Y先生:ありがたいことだと思いますね。
N:負担が軽くなりますからね。
Y先生:いえ、先生の大変な技術でやっていただいたと思っていますから負担には感じません。
N:いや、私の技術というより医療材料の進歩ですね。手術そのものは普通の白内障と全く同様で、レンズが少し加工してあるだけです。普及していくといいなと思っています。価格面が今は問題ですが。
Y先生:そうでしょうか。コンタクトを買っていくことを考えたらそんなには価格面が問題とは思えませんが・・・。
N:Y先生のようにいろいろなコンタクトを使っているとそうなんでしょうか?
Y先生:ええ。面倒ですしね。
N:では最後に、この手術に課題点があるとしたらなんでしょうか?
Y先生:どこに焦点を絞るか、ということですね。そこが問題だと思いますね。今、普通の行動はいいですけれど、テレビなどを鮮明に見ようと思うと、2m、3mに焦点が合わないといけないですよね。大体のことはわかるから、私はそれでいいのですが、近い所をどこに絞るかがやはりポイントだと思いますね。おおむね私は満足していますけれど。
N:確かにおっしゃるとおりで、多焦点といっても二重焦点なので、どこに合わせるかというのは重要ですね。
Y先生:もうちょっと、3重、4重のものがあるといいんですけどね。
N:いいでしょうねえ。とても貴重なご意見をどうもありがとうございました。
※術後11ヶ月の検診時には、「夜の見え方は、インタビュー当時よりかなり改善されている」とのお話でした。