診察・検査の空き状況

ドライアイ ドライアイ

ドライアイとは

ドライアイは様々な原因により、涙の状態が悪くなり、それによって乾燥感、異物感、痛みなどの症状が起こる病気です。最近はスマートフォンの使用など日常生活で目を酷使することが多くなってきており、非常に多くの方がドライアイを患っています。自覚症状が強い場合は、日常生活にも影響することがあります。当外来では、ドライアイの原因の究明と治療方法を提案し、患者さんの日常生活をより快適なものにすることを目指しています。

担当医
  • 小島 隆司
    眼科専門医
    小島 隆司

セルフチェック

5個以上:ドライアイの可能性があります。
※上記の症状には、別の病気の初期症状の可能性もあります。ドライアイかどうかは自己判断せずに眼科の診察を受けましょう。

ドライアイのタイプを見極める

ドライアイのタイプを見極めるドライアイのタイプを見極める

検査

シルマー試験
涙の分泌能力を調べる検査です
シルマー試験
ケラトグラフ5M
ドライアイの複合検査機器です。特にマイボーム線がどの程度障害されているか、涙の安定性が分かります

マイボーム腺 正常

マイボーム腺 正常

マイボーム腺 異常

マイボーム腺 異常
ストリップメニスコメトリー
目の縁に当てると、わずか5秒で涙の貯留量を測定できます。日本発の検査で小島医師が慶應大学に在籍中に研究し、世界に発信しました。現在様々な国で用いられるとともに、5秒で測定できて痛みも無いことから、犬など小動物のドライアイの診断にも用いられています。
ストリップメニスコメトリー
SMTube instruction
(8分51秒)

ドライアイのタイプ別治療

水分分泌減少タイプ

水分分泌減少タイプ

ファーストチョイスは点眼薬です。
日本で開発されたジクアスは非常に優れたドライアイ治療点眼薬で、眼表面から水分を分泌させる働きをもっています。これでも改善しない場合は、涙点プラグがおすすめです。涙点プラグは涙が鼻に流れていく0.5mm程度の小さな排出口にシリコンの蓋をする治療です。
現在の涙点プラグはデザインも非常に低刺激性となっており入っているかどうかもわからない程度です。 涙点プラグ治療は涙だけでなく、使用した点眼薬も眼の表面に滞留しやすくなりますので点眼薬の回数を減らす効果と点眼薬の効果を高める作用もあります。

シェーグレン症候群について
シェーグレン症候群は、目と口の乾燥(ドライアイとドライマウス)を主な症状とする病気です。 涙を作っている涙腺と唾液を作っている唾液腺が、炎症によって壊れてしまい、涙、唾液が出なくなります。 原因は、本来自分の体を守るはずの免疫系が暴走してしまい、自分の涙腺や唾液腺を攻撃して破壊してしまうことにあり、シェーグレン症候群は自己免疫疾患というくくりの病気のひとつです。ドライアイは重症化することが多く、視力の低下を伴うことも多いです。眼を開けているのが辛い、日常生活を送るのも大変と言われて受診される方も多く、かなり重点的な治療が必要になる事が多いです。 ドライアイの中では水分が不足するタイプに分類されます。炎症を抑える治療と水分を増やす治療を同時に行います。水分を増やす治療としては、軽い場合は点眼による補充やジクアスなど水分を分泌させる点眼液で十分ですが、重症化してくると涙点プラグを併用し、自分の涙や点眼した水分が外に逃げないようにします。涙点プラグはどうしても脱落の問題が多いので、重症のシェーグレン症候群の場合は涙点閉鎖手術を行うこともあります。 また重症例では、この治療に加えて自己血清点眼も非常に有用です。

油分分泌減少タイプ

涙の成分に油の成分があると知らない方も多いと思います。
まぶたの縁にはマイボーム腺という油を分泌する脂腺がたくさん存在し、瞬きのたびに眼表面に油分を供給しています。この油は、涙の蒸発を抑えて乾燥しないようにしています。マイボーム腺は油の出口の部分が詰まったままだと、マイボーム腺そのものがなくなってしまいます。
治療では、まぶたを温めてマイボーム腺の開口部に詰まった油を圧迫して押し出し、分泌を促します。
また家でのケアも大切ですので、その指導も行なっています。また、難治性の場合は光エネルギーを使ったIPL治療も選択肢となります。

摩擦亢進タイプ

涙液そのものには異常がなくても、まぶたと眼表面の摩擦が増えることによってドライアイが起こることがあります。
代表的な病気には結膜弛緩症、上輪部角結膜炎、翼状片、リッドワイパー症候群などがあります。基本的な治療としては、摩擦を減らすムチンを分泌させるジクアスやムコスタ点眼がファーストチョイスとなりますが、点眼でも改善しない場合や症状を繰り返す場合は手術治療を行う場合もあります。

神経過敏タイプ

これまでのドライアイの考え方は、涙の状態が悪くなり(乾燥し)、眼の表面に傷ができることで、乾燥感を感じたり眼の痛みを感じるというものでした。しかし、患者さんの中には眼の傷が軽度にも関わらず症状が強かったり、場合によっては全く傷がないにも関わらず、非常に重篤な症状の場合があります。
このような場合、簡単に言ってしまうと眼表面の神経もしくは脳の神経が過敏になっていると考えられます。たとえて言うなら、虫歯ではないのにしみたりする、歯の神経過敏に近いものです。
このタイプのドライアイの治療は最近始まったばかりです。現在のところ私の外来では、自己血清点眼による治療を行っています。これは血清点眼に含まれる神経栄養因子の補充が目的です。
また点眼薬のみで改善が得られない場合は、慢性疼痛に効く内服薬を用いる場合もあります。また角膜の知覚神経過敏である場合は、強膜レンズも有効な治療法です。これはまぶたによる摩擦や、乾燥による刺激から角膜を強膜レンズによって保護するという治療です。
このタイプのドライアイは実は特殊なタイプではなく、多くのドライアイの患者さんに関係しています。ドライアイは以前から、症状と所見(眼の表面の傷など)の関連が低いと言われています。これは多かれ少なかれ、眼表面もしくは中枢の神経がどう感じるかが患者さん毎に異なっているという事を示しています。​

治療

自己血清点眼治療

自己血清点眼治療

現在のドライアイの治療の限界点は、自分の涙を増やす方法が無いことです。涙には他の目薬にない、ビタミン類、眼表面の傷を修復する増殖因子、神経の栄養因子などを含んでいます。
このため、非常に涙液分泌が少ない方(重症ドライアイ)は、どのドライアイ点眼薬を使用しても、涙点プラグを行っても効果が不十分な場合があります。自己血清点眼は採血して採取した血液から透明な血清を分離し、それを20%に希釈して使用します。
保存方法は3ヶ月冷凍保存可能で、1週間毎に融解させ使用します。
血清は涙に近い成分であるために、これまでの研究でも通常の点眼薬に比べてドライアイの改善効果が高いことが分かっています。
この治療の欠点としては、3ヶ月毎に採血が必要な事です。

IPL治療

(マイボーム腺機能不全に対する光エネルギー治療)

上で説明した、油分分泌減少タイプに対する新しい治療です。まぶたの縁に光エネルギーを当てて、血流改善を起こすことによって、マイボーム腺の詰まりを解除します。基本的な方法として、4回で1クールとなります。この治療は、保険治療の対象外で自費診療となります。ドライアイの治療の多くは点眼など補充治療が基本ですが、この治療は原因となるマイボーム腺の状態を根本的に改善出来ることが特徴です。強い光が当たるので、患者さんは眼をシールドで保護して治療を行います。

IPL治療

眼瞼痙攣

ドライアイ症状を伴うことが多く、ドライアイの治療をしてもなかなか良くならない、それに加え眩しさと瞼が開けにくくなる病気、それが眼瞼痙攣です。
ドライアイ外来を行っていると、難治性のドライアイで紹介いただく患者さんの一定の割合で眼瞼痙攣の患者さんがいらっしゃいます。

セルフチェック

3個以上:眼瞼痙攣の可能性が高いです。

眼瞼痙攣の治療

眼瞼痙攣は内服薬(向精神薬や抗不安薬など)の副作用で起こることもありますので、そのような場合は薬の中止、変更が必要になります。その他の場合は、ボトックス注射が大変有効です。ボトックス注射は瞼にボトックスを注射することで瞼の筋肉の緊張を弱めてあげることにより症状を緩和する治療です。欠点は3ヶ月程度で効果が切れて、再び注射が必要なことです。ボトックス注射が効きにくい場合は、抗けいれん薬や抗不安薬などの内服薬を使用する場合もありますが、その副作用でも眼瞼痙攣は起こることがありますので、注意が必要です。

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